西宮市・神戸市の税理士「松尾会計事務所」 │ 相談実績500件超え

西宮市・神戸市の税理士 │ 松尾会計事務所

【主要業務】税理士業・会社設立【対応地域】西宮市・神戸市を中心に兵庫県全域
【最寄り駅】JR神戸線さくら夙川駅徒歩1分、阪神西宮駅・阪急夙川駅徒歩7分

0798-56-8415

電話受付時間 : 平日9:00~17:00 休業日:土日祝

メールは24時間受け付けております。

お問い合わせはこちら

論文┃第4章 産業廃棄物に係る法定外目的税の実態について③

第3節 中国3県(鳥取県・岡山県・広島県)における産業廃棄物税
1.経緯
 中国各県において最も早く条例を議会に提出した鳥取県においては、平成11年10月に「鳥取県における地方税のあり方研究会」を設置し、地方税の充実確保について幅広い視野で研究を行うこととした。そこで、産業廃棄物の発生抑制、リサイクルの推進、適正処理を循環型社会の柱として取り組むことを確認し、県内の産業廃棄物処理施設が逼迫している状況から、喫緊の課題となっている処理施設の設置を促進するために、平成12年3月に「鳥取県産業廃棄物処理施設設置促進条例」を制定して、産業廃棄物処理施設の設置における周辺地域の整備に対する交付金制度を創設した。この条例の中では、交付金の財源として新税の検討が盛り込まれていた。
 さらに、循環型社会の構築の観点から、産業廃棄物の適正な処理施設の設置促進や発生抑制、リサイクルの推進などのインセンティブ効果の視点も考慮しながら検討が進められ、平成14年2月県議会において、「鳥取県産業廃棄物処分場税条例案」を上程した。この段階の条例案では、県内の中間処理施設または最終処分業者に特別徴収させるものであり、税率は、中間処理はトン当たり100円程度、最終処分はトン当たり1,000円程度とされていたが、同2月議会では同意が得られず、継続審議となっていた。その後、修正案を提出し、平成14年6月議会において同条例が可決成立し、同年9月27日に総務大臣の同意を得るに至り、平成15年4月1日から施行されている。
 一方、岡山県では、平成12年11月に庁内職員による「地方税を考える研究会」が中間報告書を取りまとめ、その中で、「産業廃棄物処理税(仮称)」試案を盛り込んだ。この試案では、環境施策の汚染者負担の原則を重視した、排出事業者を納税義務者とし申告納付させるA案、産業廃棄物の最終処分場への搬入行為に着目した、埋め立て処分場への持ち込みを行う排出事業者と中間処分業者を納税義務者とし、最終処分業者を特別徴収義務者とするB案およびB案を納税義務者の申告納付とするB′案の3案が提案された。その後、数回にわたる検討の結果、B案により租税制度を活用することが適当である旨の結論を導き出し、平成14年9月27日に総務大臣の同意を得るに至り、平成15年4月1日から施行されている。
 また、広島県においては、地方分権一括法の施行後から、産業廃棄物の最終処分場の逼迫等を背景に、廃棄物の排出抑制、減量化の推進を図ることを目的とする租税政策が検討され、県外から搬入される産業廃棄物に限って課税する産廃搬入税を設けることを検討していた。しかし、岡山県からは、流通阻害税であってはならないとする意見を、鳥取県からは、他県に産業廃棄物の一部を搬出しており、広島県とは事情が異なるなどの意見 を背景に、広域連合の下で実施することを決定し、平成14年9月27日に総務大臣の同意を得るに至り、平成15年4月1日から施行されている
2.概要(鳥取県産業廃棄物処分場税条例第1条~28条、岡山県産業廃棄物処理税条例第1条~18条、広島県産業廃棄物埋立税条例第1条~24条)
(1) 課税の根拠
 中国3県は、それぞれ県内の産業廃棄物の最終処分場の逼迫等を背景としており、産業廃棄物の排出抑制、減量化の推進が喫緊の課題となっていた。広島県においては他県からの産業廃棄物の搬入量が多く、県外からの搬入に限って課税する方法や、県外・県内で税率を変える不均一課税の方法も一つの手段として考えられていた。また、当時、広島・岡山県で検討されていた内容は、最終処分段階のみに課税する案であり、鳥取県において、中間処理施設段階で課税した後、広島県・岡山県に持ち込まれると二重課税の問題が生ずるとの難点を抱え、結局、鳥取県では、中間処理段階の課税を断念し、3県で足並みをそろえることとなった。
 そこで、広く不特定多数の排出事業者に対して経済的インセンティブを期待して、鳥取県では産業廃棄物処理施設の周辺整備事業への交付金の財源およびリサイクル促進事業の財源に充てることを目的として、岡山県では産業廃棄物の発生抑制、リサイクルの促進および最終処分量の減量化を目的として、また、広島県では県内で埋め立てられる産業廃棄物を抑制することを目的として、課税方式と導入時期について統一され、それぞれ産業廃棄物に係る法定外目的税を協同で制定したものである。

(2) 課税客体
 県内の最終処分場への産業廃棄物の搬入

(3) 納税義務者
 県内の最終処分場に産業廃棄物を搬入する排出事業者又は中間処理業者(岡山県は、自家処理も含む)

(4) 徴収方法
 最終処分業者を特別徴収義務者として申告納付させる(岡山県の自家処理の場合は、自家処理を行う者に申告納付させる)

(5) 税率
 1トンにつき1,000円

(6) 非課税事項
 ①鳥取県…公共下水道または流域下水道から生じた汚泥、その焼却後の燃え殻など、事業活動に伴って生じる廃棄物と本来、性格の異なる廃棄物については非課税
 ②広島県・鳥取県…産業廃棄物を排出した事業者が当該産業廃棄物を自らが有する最終処分場において最終処分するための搬入は非課税
 ③岡山県…設定なし
 
(7) 収入額見込み額
 ①鳥取県…約700万円
 ②広島県…約10億円
 ③岡山県…約7億円

(8) 税収使途
 ①鳥取県…産業廃棄物処理施設の設置の促進および産業廃棄物の発生抑制、再生その他適正な処理に関する施策に要する費用に充てる
 ②広島県…産業廃棄物の排出抑制、減量化、リサイクルその他産業廃棄物の適正な処理に関する施策に要する費用に充てる
 ③岡山県…産業廃棄物対策促進費用(排出業者への意識の改革、産業活動の支援、適正処理の推進、環境インフラの整備、等)に充てる。また、保健所設置市(倉敷市)には、当該市域に係る税収の1/2を交付する

※51 朝日新聞・朝刊2001年1月11日
税理士による無料相談受付中!
0798-56-8415
今すぐ、お気軽にご連絡ください。
担当者が丁寧にわかりやすく対応いたします。
西宮市・神戸市の税理士「松尾会計事務所」
【対応時間:9:00~17:00(月~金)】【休日:土日祝日】
【メールでのお問い合わせは24時間受付中】
メールでのお問い合わせはこちらをクリック
Return Top