ウィークリーマンションの消費税課税区分
非課税取引とは
消費税の課税の4要件は、以前ご紹介いたしました。
>>「消費税の課税の対象」は、こちらをご覧ください。
「国内において」「事業者が事業として」「対価を得て行う」「資産の譲渡、貸付け及び役務の提供」
消費税法では、上記の4要件に該当するものであっても、社会政策上の見地から課税が好ましくないものについては、「非課税」として定めています。
限定列挙といって、次の17項目が挙げられています。
(1)土地の譲渡及び貸付け(一定の場合を除く)
(2)有価証券等の譲渡
(3)支払手段の譲渡
(4)預貯金の利子や保険料を対価とする役務の提供等
(5)一定の郵便切手類の譲渡、印紙及び証紙の譲渡
(6)商品券等の物品切手等の譲渡
(7)国等が行う行政サービス
(8)外国為替業務に係る役務の提供
(9)社会保険医療の給付等
(10)介護保険サービスの提供
(11)社会福祉事業等によるサービスの提供
(12)助産
(13)火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
(14)一定の身体障碍者用物品の譲渡や貸付け
(15)学校教育
(16)教科用図書の譲渡
(17)住宅の貸付け(一定の場合を除く)
ウィークリーマンションの課税区分は!?
基本的な考え方
限定列挙されている非課税取引のうち、住宅の貸付けについては、
〇 契約において人の居住の用に供することが明らかなものに限る。
〇 ただし、貸付期間が1か月未満のものは除く。
とされています。
つまり、従業員の出張の際に、週単位や月単位で借りたウィークリーマンションに係る費用については、基本的には「課税仕入」になります。
留意点
実は、もう一つ定めがあります。
ウィークリーマンションが「旅館業」に該当するかどうかにより、課税仕入となるか否かがわかれるのです。
消令16の2では「貸付期間が1月に満たない及び旅館業法における旅館業に係る施設の貸付けの場合においては、課税仕入となる」
と定められています。
最近、ウィークリーやマンスリーといった名称であっても、様々な管理、経営形態があるため、一概にすべて旅館業に該当するとはいえないようです。
実際に、ウィークリーマンションという名称であるにもかかわらず、旅館業には該当しないことから、貸付期間が1か月以上の場合には「非課税」、1か月未満の場合には「課税」としているところもあります。
つまり、消費税の課税区分判定においては、「領収書の摘要欄」のみを見ての判断ではなく、「取引の全容を把握」しての判断が必要となってきます。
また、法解釈といっても、本法・政令・省令・施行令・・・、といった様に多岐にわたります。
網の目のように張り巡らされた「定め」を確認しながらの処理が必要となります。