税額控除と特別償却
税額控除と特別償却
中小企業が一定の機械やソフトウエア等を取得した場合には、納付すべき法人税額が減税される「税額控除」または、通常の減価償却費に上乗せする「特別償却」のいずれかの税務上の特例規定を適用することができます。
税額控除
税額控除とは、機械等を取得した事業年度の法人税額から、その機械等の取得価額の7%を控除する制度であります。
但し、控除額は、その事業年度の法人税額の20%を上限とされています。
特別償却
特別償却とは、機械等を取得した事業年度において、通常の減価償却費に合わせて、取得価額の30%の償却費の計上が認められる制度であります。
減価償却費の計算は月割(事業供用日~期末までの月数)での計算となりますが、特別償却の計算には月割の概念がありません。期末に取得供用したとしても取得価額×30%が償却費となります。
いずれを選択すべきか!?
結論的には、安定的に利益が見込まれるのであれば、「税額控除」が有利となります。
なぜなら、次の2つの理由を挙げることができるからであります。
- 1)税額控除は、法人税額から投資額の一部をダイレクトに控除することができるため。
- 2)特別償却は、初年度に償却費を大きく計上することによって反射的に帳簿価額が小さくなります。
そうすると、帳簿価額を計算の基礎とする減価償却費の計算において、翌期以後に損金の額に算入される償却費が少なくなってしまいます。つまり、特別償却は、例えば、全体で100ある償却費を初年度に50計上し、残りを耐用年数に亘って償却するといった様に、単なる先取りにすぎません。
目先の納税額だけを考えると、初年度の損金の額が大きくなる「特別償却」の方が有利な場合もあります。
記述した通り、安定的な利益を見込める場合は、「特別償却」では翌期以後の損金算入額が小さくなるため、「税額控除」がお勧めとなります。
翌期以後の業績が不安定と見込んで「特別償却」を選択したものの、結果的に業績が良かった、という場合には、損をしてしまいます。
先を見るという観点から、事業計画が重要となるわけです。