不良在庫の廃棄損:税務調査のポイント
在庫が税金に及ぼす影響とは
その事業年度の売上原価は、次の算式により計算されます。
売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 – 期末棚卸高
つまり、期末在庫が大きくなれば、反射的に売上原価が小さくなります。
これは、損金に算入される金額が少なくなる、ということを意味します。
したがって、在庫を多く抱えるということは、その金額にも税金がかかっているということになるのです。
その他、資金面から見た場合、仕入時にキャッシュアウトが生じているにもかかわらず、在庫にも税金がかかれば、更なるキャッシュアウトが生ずることとなります。
不良在庫の廃棄による税金対策
廃棄損の計上を検討する
社内ルールとして部品の使用年数を決めている会社もあります。
また、マーケットの状況から折角購入したにもかかわらず、不良在庫になっている場合もあります。
このような場合には、思い切って廃棄損を計上する方法も、考えられます。
例えば、帳簿価額1,000万円の商品や部品を廃棄すれば、廃棄損として1,000万円がそのまま損金として計上されます。つまり、所得を圧縮できるため、税金対策としては有効となります。
その他、資産内容が整理されることに伴い、財務体質が改善できるメリットもあります。
廃棄損を計上するために準備すること┃税務調査対策
棚卸資産の廃棄損は、利益操作の余地が多分にあることから税務調査ではかなりの確率でチェックを受けることになります。
そのためには、①廃棄をした理由、②事業年度内に廃棄したことの証明、が必須になってきます。
①については、部品については社内ルールを整備しておくと良いでしょう。
また、商品については、税金対策のためにわざわざ購入したものを廃棄する、ということも考えにくいので、大きな論点とはならないと思われます。
問題は、②の証明です。
当事務所では、廃棄損を計上するに当たっての証明書類として、次の資料をファイリングしています。
- 廃棄をした棚卸資産のリスト
(商品名・購入時期・購入金額を一覧にしたもの) - 廃棄直前の写真
(倉庫にて日付入りで写真を撮っています) - 廃棄業者への引渡し時の写真
(トラックに積み込んだ写真を日付入りで撮っています) - 廃棄業者の請求書等
廃棄損の計上は、かなりの確率で税務調査での論点となってきます。
これ位慎重に行っても、まだまだ追及されてくるものです。
当事務所では、税務調査に強いという特徴があります。お気軽にご相談ください。