土地建物の一括譲渡
土地・建物の一括譲渡の場合の確定申告
譲渡価額の留意点
不動産売買に際して、未経過期間に対応する固定資産税相当額の精算金を受領する商慣行があります。
この受け取る金銭は、譲渡価額の一部を構成することになりますので、約定の譲渡価額に加算する必要があります。
土地建物の取得費が不明の場合
土地や建物の取得費が不明な場合は、「譲渡収入 × 5%」として取得費を計算します。
これを概算取得費と言います(措法31の4、措通31の4-1)。
その1.建物の取得費はわかる場合
複数の資産を譲渡した場合の譲渡所得は、個々の資産毎に、
譲渡収入 – (取得費 + 譲渡費用)
で所得を計算します。
しかし、契約上土地建物の譲渡価額が区分されていない場合もあります。
この様な土地建物の一括譲渡に際し、譲渡した土地の取得費は不明であるが、建物に関しては建築請負契約書がある時は、
譲渡時の建物の未償却残高をまず計算することになります。
この計算した未償却残高を建物の取得費とし、
譲渡価額 – 建物の未償却残高 = 土地の譲渡価額
として計算していくことになります。
そうすると、建物の譲渡価額=建物の取得費となります。
その2.土地建物の取得費がわからない場合
マンションの一室を譲渡した場合等によく見られる現象であります。
この場合、最もオーソドックな方法としては、次の様な計算になります。
①「建物の標準的な建築価額表(注)」を基に、建物の未償却残高を計算
② 譲渡収入 – ① = 土地の譲渡収入
③ ② × 5% = 土地の取得価額
④ 譲渡収入 – (① + ③ + 譲渡費用)= 譲渡所得
② 譲渡収入 – ① = 土地の譲渡収入
③ ② × 5% = 土地の取得価額
④ 譲渡収入 – (① + ③ + 譲渡費用)= 譲渡所得
(注)
建物の標準的な建築価額表は、国税庁HPで公表している「譲渡所得の申告のしかた」に掲載されています。
建築統計年報を基に取得時期毎の未償却残高の一覧を表記していますので、ある程度の参考になります。