青色申告について:特典の活用による節税対策
法人でも個人でも、青色申告制度を適用することにより多大なメリットがあります。
権利と義務の関係がありますので、一定の義務は生じてきます。
但し、一定の義務をはたしてでも青色申告を適用した方が、後々のメリットは大きくなります。
ちなみに、弊所では法人では100%、個人では、2か所給与の方を除き事業を営んでいる方の全てで青色申告にて確定申告書を提出しています。
青色申告制度とは
所得税法は申告納税制度を採用しています。これは、納税者が自ら税額を計算し、その計算した税額を納付する方法をいいます。我々税理士は、その税額の計算についてお手伝いをいたしております。
税額の計算は、所得に税率を乗じて計算していきます。つまり、所得を正確に算定する必要があります。
この所得については、1年間に生じた収入金額から必要経費等を控除して計算しますが、その基礎資料として正確な帳簿の作成が要件となっています。
会計の用語でいうと、複式簿記による記帳、が必要となってきます。
つまり、取引が発生する度に、取引記録を仕訳形式で記録していくことになります。
青色申告の要件として、この複式簿記による記帳が必須となります。
この様に正確な帳簿を作成し、きちんと所得を計算しているのであれば、有利な特典を付けましょう、というのが青色申告制度であります。
ちなみに、青色申告を選択できるのは、不動産所得、事業所得、山林所得のある方になります。
なお、現金出納帳や売上帳、仕入帳等の書類については7年間の保存義務があります。
青色申告の承認手続きとは
では、青色申告を選択したい場合には、どのような手続きがあるのでしょうか。
新たに青色申告を選択する場合には、その適用したいと思う年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署長に提出する必要があります。
なお、新たに開業した場合には、開業した日から2か月以内(開業の日がその年の1月15日以前の場合は3月15日まで)に所轄の税務署長に提出する必要があります。
青色申告を適用することによるメリット
青色申告特別控除
所得から65万円、または10万円を控除することができます。
これは「現金支出を伴わない経費」とイメージいただければ結構です。
65万円控除を受けた場合、この65万円にご自身の所得税の税率を乗じた金額が、青色申告の適用によるメリットということができます。
※複式簿記による現金出納帳が作成できず、簡易帳簿を作成する場合は10万円控除となります。
こちらも権利・義務関係となります。簡易な帳場なので控除額は少なくなる、ということになります。
青色事業専従者給与
所得税では、原則として、家族への給与は認められていません。
青色申告を適用することにより、青色申告者と生計を一にする配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上でその事業に専ら従事している人に支払った給与は、届出書に記載された金額の範囲内で適正と認められるものであれば、必要経費に算入することができます。
なお、青色事業専従者として給与の支給を受ける場合は、配偶者控除や扶養控除との重複適用はできませんので注意ください。
純損失の繰越しと繰戻し還付
その年の事業所得が赤字になり、損失が生じた場合において、青色申告を適用している者については、その損失を翌年以後3年間にわたり所得からチャージすることができます。
また、損失の生じた前年においても青色申告の適用を受けている場合は、一定の算式により計算した金額を前年分に納付した所得税から還付を受けることもできます。
正確な会計帳簿の作成や帳簿書類等の保存義務もありますが、それらの労力を差し引いても、なお多大なメリットがあるはずです。
きちんとした申告&納税を行うのは国民の義務であります。どうせ申告をするのであれば、メリットの大きい方を選ぶのが良いのではないでしょうか。