所得拡大促進税制:同族会社の場合の留意点
所得拡大促進税制とは
制度の概要
国内雇用者(注)に対して給与等を支給し、その支給した給与等が増加した場合は、その増加額の10%を法人税又は所得税から控除できる制度であります。
注)国内雇用者のうち、次に掲げる者は対象となりません。
① 役員
② 使用人兼務役員
③ 役員の親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)
④ 役員と婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係にあると認められる者
⑤ 役員から生計の支援を受けている者
⑥ ④⑤の者と生計を一にするこれらの者の親族
適用期間
- 法人・・・平成25年4月1日~平成30年3月31日までの期間内に開始する事業年度
- 個人・・・平成26年1月1日~平成30年12月31日までの事業年度
同族会社の場合の留意点
所得拡大促進税制は、国内雇用者に対する給与等を基に計算をするため、「国内雇用者」の判定が適用可否のポイントになってきます。
国内雇用者とは、法人の使用人の内、役員・役員の特殊関係者・使用人兼務役員を除く、法人の有する国内の事業所に勤務する雇用者をいいます(措法42の12の4②一、措令27の12の4①②)。
ここで、同族会社の場合は、本税制を適用するにあたり、取締役等の役員はもとより法人税法上の「みなし役員」についても国内雇用者に該当しないこととなります。
また、「みなし役員」である使用人の親族がその同族会社の使用人である場合についても、これらの親族は「みなし役員の特殊関係者」となるため、上記と同様に国内雇用者には該当しないこととなります。
例えば、株式の全てを親族内で保有しているような同族会社において、
株式を5%超保有し、かつ、経営にも従事していると認められる者の配偶者や扶養親族が、当該会社から給与の支給を受けた場合は、
「みなし役員の特殊関係者」という判定になることから、株式保有率等は関係なく、国内雇用者の対象から外れることとなります。
取締役等の役員については該当しない! との判定は簡単に行えますが、上記の様な「みなし役員」及び「みなし役員の特殊関係者」についてはミスが生じやすくなるため、注意が必要となります。