汚染土壌の対策費用は修繕費or資本的支出?
汚染土壌対策費用
工場跡地等の汚染土壌対策費用に関しては、遮水壁の埋設、汚染土壌の掘削除去、地盤補修、良質土による埋戻し、アスファルト舗装など多額の費用を要します。
それぞれの支出について、修繕費として処理するのか或いは資本的支出として処理するのか、慎重な判断が求められます。
法人税の取扱い
法人税では、法人がその有する固定資産について支出する金額のうち、
● その支出のうち当該固定資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する金額
● その支出のうち当該固定資産の価値を増加させる部分に対応する金額
については「資本的支出」に該当し、減価償却資産として固定資産に計上することになります。
法人税基本通達の取扱い
法人税基本通達では、地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額や、被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水または土砂崩れの防止等のために支出した費用については「修繕費」として処理することが可能としています。
結論
法人税及び法人税基本通達から読み解くと、工事等に要する費用のうち、汚染土壌の掘削除去及び良質土による埋戻しに要する費用については、工場跡地を土壌汚染前の状態に回復するために要すると解されることから修繕費に該当すると考えられます。
また、遮水壁の埋設及びアスファルト舗装に要する費用については、防壁・舗装道路という新たな構築物を取得したように思われますが、被害拡大を予防する観点から設置したものであり、いずれも汚染対策終了後も埋設した状態を維持するものであることから修繕費に該当し、それぞれの工事の完了した日の属する事業年度の損金の額に算入することになります。