輸出入の外貨建取引の換算方法
グローバル社会において、海外取引を行われている会社は多くあります。
円建て決済、ドル建て決済、為替予約というように、その決済形態は各々の事業体に応じて採択されています。
今回は、外貨建取引とはどのようなものか? ということと、その外貨建取引を円建てに換算するルールをご紹介いたします。
外貨建取引とは・・・
外貨建取引とは、外国通貨で支払いが行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れ、剰余金の配当その他の取引をいいます。
※債権債務の金額がドル建てで表示されていても、その支払いが円建てにより決済される場合は、外貨建取引には該当しないこととなります(法基通13の2-1-1)。
外貨建取引の換算方法と換算レート
取引発生時の換算レート
原 則 | 特例(継続適用が条件) | |
---|---|---|
売上等の収益 又は資産 |
TTM(電信売買相場の仲値) | TTB(電信買相場) |
仕入等の費用 又は負債 |
TTM(電信売買相場の仲値) | TTS(電信売相場) |
※これらの相場に関しては、取引銀行のHPをご覧いただくと、情報が入手できます。
決算時の円換算と換算レート
決算期末に有する下記の外貨建資産等を有する場合には、「発生時換算法」または「期末時換算法」により円換算することとなります。
・発生時換算法とは、外貨建資産等の取得等の起因となった外貨建取引の金額の円換算に用いた為替相場により換算した金額をもって、期末の円換算額とする方法と言います。
つまり、取引時の為替相場ということになります。
・期末時換算法とは、期末における為替相場により換算した金額をもって、期末の円換算額とする方法をいいます。
外貨建資産等の区分 | 法定換算方法 | 選択適用 |
---|---|---|
外国通貨 | 期末時換算法 | × |
短期外貨預金 (普通預金・当座預金) |
期末時換算法 | 発生時換算法 |
長期外貨預金 (定期預金・積立預金) |
発生時換算法 | 期末時換算法 |
短期外貨建債権債務 (売掛金・短期借入金) |
期末時換算法 | 発生時換算法 |
長期外貨建債務債務 (長期未収金・長期借入金) |
発生時換算法 | 期末時換算法 |
前渡金・前受金 |
換算対象外 (取引時のレートのまま) |
× |
売買目的有価証券 |
期末時換算法 (別途、要時価評価) |
× |
満期保有目的有価証券 (償却期限、金額の定めあり) |
発生時換算法 (別途、要償却原価) |
期末時換算法 |
その他有価証券 | 発生時換算法 | × |
子会社株式 | 発生時換算法 | × |
※期末に有する外貨建資産等は、上記の区分毎、外国通貨の種類毎に円換算しなければなりません。
この場合のレートは、取引発生時と同様、原則的にはTTMを用いることとなります。
※一定の届出書を提出していない場合は、「法定換算方法」によって換算することになります。
なお、選定した換算方法を変更する場合は、新たな方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに「外貨建資産等の期末換算方法等の変更承認申請書」を所轄の税務署長に提出する必要があります。
※期末時換算法により換算した金額と、帳簿価額との差額は、洗替方式により益金又は損金の額に算入することとされます。
※上記表の「×」は選択できないことを表しています。
輸出、輸入取引でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。