輸入消費税と仕入税額控除
輸入消費税と仕入税額控除
海外から輸入した課税貨物に係る消費税(=輸入消費税)は、輸入者が税関から交付される「輸入許可書」等を保存することで、国内取引に係る消費税と同様に仕入税額控除を受けることができます。
貨物を輸入する会社は、税関での輸入手続きを通関業者に委託することが多いと思われます。
この場合、「輸入許可書」等の名義人が通関業者となっている場合には、委託した会社側での仕入税額控除が認められないことになってしまいます。
輸入消費税の納税義務者は、法人、個人を問わずその「輸入者」であり、税関から交付を受けた「輸入許可書」等の保存により納付した輸入消費税の仕入税額控除が認められる、とされています(消法5②、30①等)。
なお、この「輸入許可書」の交付を受け課税貨物を引き取るには、税関に対して輸入消費税等を記載した「輸入申告書」を提出するなど一定の手続きが必要となります。
会社が通関業者に輸入手続きを委託している場合「輸入申告書」の提出や輸入消費税の納付等を代理で行ってもらった後に、通関業者にその輸入消費税相当額を支払うことが一般的であります。
この場合、「輸入申告書」や「輸入許可書」の輸入者欄が通関業者になっていると、当該取引に係る輸入消費税の仕入税額控除は、通関業者に認められることとなります。
つまり、委託した会社側では、通関業者に支払う輸入消費税相当額の仕入税額控除は認められず、通関業者に支払う手数料等部分のみ仕入税額控除の対象になります。
ちなみに、消費税の取り扱いでは、一定の場合には輸入申告を行っていない者を実質的な輸入者として仕入税額控除を認めていますが、これは、関税法で税関長の承認を受けた製造者名で輸入申告を行わなければならないと規定されているなど、限定的なものとなっています(消基通11-1-6)。