課税仕入の用途区分の判断:いつの時点を基準とするか
個別対応方式の用途区分の判断基準時
判断の基準となる時点 ~結論~
消費税の仕入税額控除の計算には、「個別対応方式」と「一括比例配分方式」とがあります。
前者は「課税売上のみに係る課税仕入」「非課税売上にのみ係る課税仕入」「課税売上と非課税売上に共通する課税仕入」に区分されます。
この個別対応方式を用いて計算する控除対象仕入税額について、名古屋地方裁判所は平成26年10月23日、
「課税仕入の用途区分を判断する際の基準時は、課税仕入の日が属する課税期間の終了時点ではなく、課税仕入を行った時点である」
としました(平成25年(ウ)第112号・確定)。
判断の基準となる時点 ~例示~
例えば、1棟の建物を取得した場合、その取得時において、
① 1階~2階は、事務所用として賃貸
② 3階~10階は、居住用として賃貸
を予定していたとします。
(注)①は「課税売上」となり、②は「非課税売上」となります。
事業年度終了時点において、1階および2階はテナントに賃貸しているものの、3階から10階は空室であった場合における仕入税額控除の計算は、
課税期間終了時の状況である「課税売上のみに係る課税仕入」
とするのではなく、取得当初の予定通り、「課税売上と非課税売上に共通する課税仕入」となります。
今回の消費税に限らず法人税においても、税法の規定の適用を考える上で、「事業年度終了時(課税期間の終了時)」と「原因の発生時(課税仕入を行った時)」があります。
ある程度のルールは確立されているものの、判断に迷われた際は、西宮市・神戸市の税理士「松尾会計事務所」までお気軽にお問い合わせください。