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海外出向者に対する給与所得について

取引のグローバル化、ボーダレス化に伴い、海外に進出する日本企業の数が増加しております。
これは、反射的に、海外勤務を行う日本人の人数が増加していることを意味します。

以下、日本人の海外出向と源泉所得税の取扱いについての留意点をご紹介いたします。

課税の範囲

居住者は全世界所得課税、非居住者は国内源泉所得にのみ課税されます。
>>「所得税の納税義務者について」はこちらをクリック

全世界所得課税とは、例えば、日本国内の法人に勤務している者が、次の①②③の所得を有する場合、その全ての所得について日本で申告・納税しなければならない制度のことをいいます。
① 日本法人から受ける給与
② 海外にある法人から受ける給与
③ 海外にある不動産から得られる賃貸収入

他方、上記の者が、海外勤務となり、例えば中国の居住者になったとします。
日本では「非居住者」扱いとなります。
この場合、非居住者である上記の者は、日本国内からの源泉所得のみ申告・納税すればよいこととなります
ちなみに、居住者となっている中国において、中国の税法に基づいて課税関係が生ずることとなります。

非居住者となる日の判定

非居住者となる日は、「出国日の翌日」となります(所基通2-4)。

例えば、平成27年3月1日に、中国の子会社へ3年間の出向の辞令が出たとします。
着任日が4月1日で、前日の3月31日に出国したとします。

この場合、出国日の翌日である4月1日が、非居住者となる日、になります。

給与所得の所得源泉地の判定基準

支給される給与が、日本での課税対象となるか否かは、その給与が国内源泉所得であるのか、或いは国外源泉所得であるのかによって決まります。
前者の場合に、課税対象となります。
なお、源泉地の判定基準は、「勤務が行われた場所(国)」となります(所法161条)。

但し、役員報酬に限っては、その源泉地の判定基準は、「勤務が行われた場所(国)」ではなく、「どこの国の法人役員か」が判定基準となります
したがって、内国法人の役員については、海外子会社等への勤務の場合であっても、国内源泉所得とされます。
つまり、その役員の所属する法人の居住地国に課税権が認められることとなります。
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