社会保険料の節約:役員報酬
役員給与の損金不算入規定では、定期同額給与や事前確定届出給与に該当する給与であっても、過大とされる部分については損金不算入とされます。
>>「法人税法における役員給与について」はこちらをご覧ください。
一部の法人では、社会保険料の支払額の節約や、老齢年金の支給額を増加させることを目的に、役員給与の支給形態を変更する動きがあります。
例えば、毎月100万円ずつ支給している場合、年間の役員報酬の額は1,200万円となります。
これを、
〇 毎月の定期同額給与として、10万円ずつ
〇 事前確定届出給与として、1,080万円
に変更することにより、総額である1,200万円は変わらないものの、社会保険料の支払額は節約される、ということになります。
(この方法の賛否に関しては今回は言及いたしません。)
法人税の観点から、このような支給形態の役員報酬が認められるか否か、をご紹介いたします。
結論としては、問題ありません。
過大役員給与は、定期同額給与や事前確定届出給与に該当するもののうち、不相当に高額な給与に当たる部分であって、その金額は損金不算入とされています(法法34②)。
この場合、不相当に高額か否かの判定は、「実質基準」と呼ばれるものと「形式基準」と呼ばれるもののうち、いずれか多い金額と比較して行われます。
※実質基準・・・職務内容や法人の収益、使用人の給与支給状況等に照らして、高額だと認められる金額をいいます。
※形式基準・・・定款や株主総会等の決議によって定めた役員給与の支給限度額を超える場合における、その超える部分の金額をいいます。
したがって、法人税法の解釈からすると、「定期同額給与」または「事前確定届出給与」であって、且つ、その支給額が実質基準、形式基準に抵触しない限りは、損金算入を認めることになります。
つまり、支給形態は関係ないことになります。
今般の例示では、あくまで総額である1,200円が、不相当に高額か否かの判定となるのです。
つまり、支給形態は関係ないことになります。
今般の例示では、あくまで総額である1,200円が、不相当に高額か否かの判定となるのです。