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設備投資に伴う消費税の還付

賃貸マンションを建築して居住用として賃貸する場合、一定の要件を満たすとマンション建築に係る消費税の還付を受けることができます。
しかし、安易にこのスキームを使ってしまうと、その後の年度において課税が生ずることもあります。
還付される税額と、その後に納付する税額とを天秤にかけながらの制度設計が重要となります。
今回は、事例を交えながらのご紹介としたします。

前提条件

〇 建築主は、平成25年まで免税事業者(年間の課税売上高は1,000万円以下)
〇 事業年度は1月~12月の法人
〇 賃貸マンションの取得
〇 平成26年中に取得し、賃貸開始は翌年の平成27年1月から
〇 消費税の還付を受けるため、平成25年中に「消費税課税事業者選択届出書」を提出
  ∴ 平成26年は課税事業者となっている。

消費税還付の判断

平成26年度の消費税申告

消費税は、課税事業者を対象として、課税売上に係る消費税額から課税仕入に係る消費税額を控除し、その残額がプラスの場合は納付、マイナスの場合には還付、とされています。

しかし、本設例のように、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であることにより本来免税事業者となる法人であっても、自ら課税事業者を選択することによって還付申告ができることになります。

従来からの事業に係る売上が全て課税対象である場合、マンションの賃貸収入は住宅の貸付けとして非課税となるものの、この収入は平成27年から生ずることになるため、平成26年の課税売上割合は95%以上になることが想定されます。
つまり、マンションの建築に係る消費税額について、全額が控除対象になります。

平成27年度以後の消費税申告│その1

ここからが問題となってきます。
賃貸マンションは消費税法上、調整対象固定資産に該当します。
これは、「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になった後、2年以内に調整対象固定資産を取得して還付申告する場合には、取得した課税期間から3年間は免税事業者には戻れないという規定であります(消法9⑦)。

したがって、この法人は、平成26年、27年、28年については、課税事業者が強制適用となります。

平成27年度以後の消費税申告│その2

更に追加の処理が発生します。
調整対象固定資産を取得して一定の方法により還付を受けた場合においては、還付を受けた課税期間の課税売上割合と、その年を含む3年間の通算課税売上割合とを比較して著しい変動がある場合には、控除税額を調整する定めがあります(消法33)。

本設例の場合、居住用の賃貸収入は非課税とされるため、賃貸を開始する平成27年と平成28年は非課税売上が大きくなります。
つまり、還付を受けた平成26年の課税売上割合と、その年を含む3年間(平成26・27・28年)の通算課税売上割合とを比較した場合「著しい変動」に該当することになると想定されます。
したがって、マンション建築費に係る消費税額に、課税売上割合の減少割合を乗じた金額の納付が生じてきます

この様に、目先の還付にのみ着目すると、後の納税が盲点となってしまいます。
税法はパズルのようなものであります。ピースの組み合わせ次第で出来上がりが大きく異なってきます。
事前にシミュレーションして設計図を描くことをお勧めいたします。
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