消費税の還付に関する手続き
昨今、貿易業やネットショップをはじめ、海外取引をされている法人が多くなってきました。日本国内のみに留まらず世界に発信することにより、マーケットが拡充していきます。まさしくボーダーレス社会となっています。
しかし、注意すべき点もあります。輸出禁止とされているもの、例えば、麻薬、向精神薬、特許権等を侵害する物品など、事前にリサーチする必要があります。
また、輸出の規制されているものとして、食料品など相手国との間では事前の許可や承認が必要になるものもあります。
税金面では、「消費税」が大きな論点となってきます。
「消費税の課税の対象」の記事で紹介いたしました通り、消費税は国内取引に課されます。
>>「消費税の課税の対象」はこちらをご覧ください。
国内で商品を仕入れ、その商品を海外で販売した場合には、
・商品の仕入れや、その他の必要経費(国際輸送費を除く)には、消費税がかかる!
・売上には、消費税がかからない!(※)
ということになります。
(※)輸出取引の場合は、消費税の課税対象のうち「免税取引」に該当します。つまり、税率を「ゼロ%」として課していることになります。非課税や消費税課税対象外取引とは別の概念になります。
そこで、一定の要件を満たす場合には、仕入時に課された消費税の還付を受けることができます。
以下に、消費税の還付を受けるために必要となる証明書と事前の手続きを紹介いたしますので、輸出業者の方、ネットショップで輸出取引をなされる方は参考にしてください。
【輸出免税を受けるために必要な証明書等】
1.次の2.の方法以外の輸出の場合
輸出許可書、積込承認書または税関の輸出証明書
2.郵便により輸出する場合
① 20万円超の場合は、輸出許可書または税関の輸出証明書
② 20万円以下の場合は、その事実を記載した帳簿または郵便物受領書等
【輸出免税を受けるために必要な事前の手続き】
1.消費税の課税方式につて、原則課税方式を選択する。
2.「消費税課税事業者選択届出書」を提出することにより、自主的に課税事業者を選択する。
注意1
消費税の課税方式については、「原則課税方式」と「簡易課税方式」とがあります。
後者は、比較的小規模な事業者を対象に事務処理の煩雑性を考慮して設けられています。納税者の選択により適用することができます。
もし、この「簡易課税方式」を選択中に輸出の事業構想が出現した場合は、「原則課税方式」に切り替える必要があります。
この場合、「原則課税方式」の適用を開始したい事業年度の開始の日の前日までに「消費税簡易課税選択不適用届出書」を提出することにより、その効力を失効させます。
なお、「簡易課税方式」は、あくまで選択性ですが、一旦選択の意思表示を行うと、2年間は同方式を採用するよう拘束されることになります。
つまり、簡易課税方式を選択後、最初の2年間は輸出免税の適用を受けることができません。したがって、その採用には慎重な判断を要することとなります。
注意2
「消費税課税事業者選択届出書」は、本来は課税売上高が少額のため、免税事業者に該当するものの、輸出免税を受けるために、自主的に課税事業者を選択するとの意思表示を行う場合に提出します。
これにつても、前述の「簡易課税方式」と同様に2年間の拘束があります。
つまり、課税事業者を選択したにもかかわらず、何らかの都合により輸出を行わず国内取引のみに専念した場合においても、消費税の納税義務は発生することとなります。
そうすると、本来納めなくていいはずの税金を納める必要が生じてきます。
このように、届出書の提出時期や、選択の時期が後の会社経営に大きく影響を及ぼしてきます。特に税金は、現金の流出が伴いますので、資金繰りの影響まで絡んできます。
西宮市・神戸市の税理士「松尾会計事務所」では、貿易による輸出業、ネット通販による輸出業のお客様も多数いらっしゃいます。お気軽にお問い合わせください。