タイプ別の会社設立:医療法人
医療法人とは
医療法人とは、医療法の規定に基づき病院、診療所、クリニックまたは老人保健施設を開設しようとする医療法人社団または財団で、都道府県知事の認可を受けて設立される法人のことをいいます。
法人税法上は普通法人として、地方税法上は特別法人としての取扱いとなります。
医療法人設立のメリットとデメリット
メリット
1.介護事業や分院の設立など、事業展開を広域に行うことができる。
2.融資に際し、個人枠とは別に法人枠での借入が可能となる。
3.個人の家計と、法人の収益とを分離して管理することができる。
4.理事長とその家族に給与を支給することができるため、所得を分散させることができる。
その結果、節税を通してファミリーに現金を残すことができる。
5.理事長とその家族に退職金を支給することができる。
退職所得は他の所得よりも税率が低く設定されているため、節税対策となる。
6.所得が高くなると、個人での所得税率よりも、医療法人での法人税率の方が低くなる。
7.生命保険を法人契約で締結することにより、節税と貯蓄が可能となる。
8.事業承継、代替わりがしやすくなる。
デメリット
1.医療法人は、社会保険が強制適用となるため、事業主負担が増加する。
2.個人と法人との財布を分けなければならないため、お金を自由に使うことができない。
但し、給与としての受給があるため、不便さはほとんどないと思われます。
3.2年に1度の役員変更登記が必要になるなど、手続き面が煩雑になる。
4.税務署、都道府県、市町村への申告書提出以外に、保健所への決算届も必要となる。
医療法人の設立要件
医療法人の設立要件には、「人的要件」と「財務的要件」の二つがあります。
人的要件
(1)役員に理事3名以上が必要となる
理事の内、医師または歯科医師のライセンスを持った者1名を理事長に選任します。
例外規定もありますが、基本的には、設立認可には理事3名以上の選任が必要となります。
(2)役員に監事1名以上が必要となる
監事には、法人の利害関係者や理事の親族(6親等以内が目安)以外の者で1名以上を選任する必要があります。
(3)社員が3名以上必要となる
社員(株式会社でいう出資者・株主といったイメージです)が3名以上必要となります。
社員総会では、拠出金額の多寡にかかわらず、1人につき1議決権を有することとなります。
なお、株式会社でいう株主総会が、医療法人では社員総会となります。
ちなみに、拠出していない者でも社員になることができます。
財務的要件
(1)拠出財産
- 現金・預貯金
- 不動産・借地権
- 診療未収金
- 医薬品・医療材料
- 医療用什器備品
- その他の什器備品
- 保証金等
- 内装工事等の造作費用
- その他
(2)負債
つまり、内装工事費用として金融機関から融資を受けた借入債務については、内装工事した設備を拠出財産として引き継ぐ場合には、紐付きで引き継ぐことができます。
また、リース債務については、リース会社との契約を個人から法人に名義変更する必要があります。
この場合、名義変更したリース債務は、法人に引き継ぐことができます。
【株式会社】 最もポピュラーな設立形態です。 |
【合同会社】 初期コストを抑えた設立形態です。 |
【NPO法人】 資本金0円、法定費用0円で法人設立が可能です。 |
【医療法人】 医療法の規定に基づく設立形態です。 |
【社会福祉法人】 社会福祉法の規定に基づく設立形態です。 |
【一般社団法人】 公益・共益・営利を目的として人が集まって法人格を取得する設立形態です。 |
【一般財団法人】 公益・共益・営利を目的として、財産を中心に成立する設立形態です。 |
【学校法人】 私立学校法に基づき私立学校の設置・運営を目的とした設立形態です。 |
【宗教法人】 宗教法人法の規定に基づいて法人格を持った宗教団体です。 |