失敗しない税理士の選び方
顧問税理士によって、会社の将来が大きく変わってきます。
そのような事例をたくさん見て参りました。
考え方、経験、能力等、税理士によってそれぞれ相違するためであります。
そうすると、お客様の払うべき税金の額や資金繰りに大きな影響を及ぼします。
例えば、値段だけを見て判断してしまうと、後になって「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうことも少なくありません。
後になって後悔しないためにも、ここで「失敗しない税理士選びのコツ」を知っておきましょう。
よくあるトラブル事例
1.適切な節税ができず、余計な税金を支払ってしまう
税理士の違いにより、支払う税金に差が出てきます。
税理士顧問報酬の額や、税理士の経験値により、「一律のサービス提供」か「オーダーメイドでの対応」かが変わってくるためです。
また、会計数値のみを追いかけて、経営の相談ができない場合も多々あります。
税金のために会社を経営しているのではありません。
2.コストだけかかって、会社にメリットがない
税理士は、人的サービス業、労働集約型産業となります。
税理士顧問報酬の額に違いがあるように、それぞれのサービス内容も異なってきます。
一般的に、格安の税理士事務所ではサービス内容を絞ってコストカットをしています。
逆にある程度コストがかかってもサービス内容を手厚くしている税理士事務所もあります。例えるなら、大手航空会社とLCCとの違いをイメージしていただけるとわかりやすいかもしれません。
税理士報酬は、「報酬単価 × 投下時間」で計算していき、概ね次の3つのパターンに集約できます。
- (1)サービス内容を限定した、低価格重視
- (2)業務量に応じた従量制
- (3)高付加価値サービス重視
それぞれの税理士報酬プランについては、どれが良くてどれが悪いというわけではありません。
サービスの受け手であるお客様の「価値」の判断基準が相違するためであります。
ご留意いただきたいのは、「報酬単価」についてどの税理士においても大差はない、という点であります。つまり、上の算式を用いるのであれば、「お客様に費やす時間」を調整していることがおわかりいただけると思います。
税理士顧問報酬が安くても、何のリターンもなければ、会社にとってはマイナスになります。
逆に、税理士顧問報酬の額以上の効果が見込めれば、会社にとっては大きなプラスになります。
また、高額な税理士顧問報酬を支払っているにもかかわらず、何の提案もなく、申告書を作成して税額を伝えるのみ、という状況も未だに多くあります。
サービス内容と料金とのバランスについて十分に検討されることをお勧めいたします。
3.税務調査への対応
税務調査に不安を感じられている方もいらっしゃると思われます。
ご自身で対応するには、時間や労力、精神的負担がかかり、税務署との折衝ノーハウなども必要になってきます。
適切な申告が成されていれば、税務調査でのリスクは格段に下がります。
逆に、当初の申告内容に不備が多いと、税務調査での否認リスク(指摘を受けること)は非常に高くなります。
これは、税理士のサービスの質によって大きく左右されるところでもあります。
業務を標準化して、十把一絡げの一律サービスを遂行する税理士事務所であれば、申告書作成の基本資料となる会計データ作成の段階から、コスト削減を重視するあまり、将来のリスクをヘッジした処理は行われません。
常日頃から税務調査への対策を視野に入れた税理士事務所であれば、コストがかかっても、結果的には会社にとって大きくプラスになるはずです。
4.意思決定の相談に応じてくれない
経営は、常に意思決定の連続であります。
最終的には経営者であるお客様が全責任をもって意思決定しなければなりません。
しかし、見る角度を変えれば異なった風景が見えてくることもあります。それが税理士の役割であると考えます。
先程、税理士の報酬単価は、どの税理士も大差はないと述べましたが、これはある一定レベルの税理士のことであります。
そもそも能力に自信のない税理士は、報酬単価を低く設定していることも事実であります。
他方、能力に自信のある税理士は、報酬単価を高く設定しています。
税理士顧問料という毎月のランニングコストだけに捉われて格安な税理士と契約したばかりに、肝心な意思決定の際に判断を誤ったり、税理士がミスリードしたという事例もよく聞きます。
税理士選びのチェックポイント
上記のような失敗をしないためにも、税理士事務所への最初の問い合わせ段階から申し込みの検討段階において、以下のポイントをチェックしましょう。
チェックポイント | |
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電話・メール対応 |
すぐに税理士顧問契約を締結するように急がされないか 電話・メールの対応は、早いか 電話の応対は、きちんとされているか |
申し込み前の相談 |
事務所の立地は、交通至便か 事務所の雰囲気は、良いか 税理士をパートナーとして、信頼関係を築けるか 税理士報酬料金だけでなく、具体的なサービス内容の説明があるか 税理士報酬料金が明瞭であり、サービスとのバランスが保たれているか お客様の会社の業界のことを熟知しているか 適切な節税アドバイスをしてもらえるか 税務面だけでなく、会計面や経営に関する相談はできるか 税務調査にはしっかりと対応してくれるか 税理士というよりも「人間として」魅力を感じるか |
税理士との税理士顧問契約は信頼関係の上に成り立つものであります。
事務所の雰囲気によって、その税理士の人柄を感じることができるはずです。
信頼できる税理士選びの参考になれば幸甚です。